Akishima-house 1999~2003年
DATA
Ouchi-projects "Akishima-house"
1999年秋、昭島にあるお気に入りの公園の裏にある家を見付けた。
その家は幼少時代を過ごした祖母の米軍ハウスを彷彿とさせる佇まいだった。
家と出会ったその日、公園に少し入り込んだかたちで建ってるその古い家の周囲
は公園の銀杏の落ち葉で一面金色だった。
空き家だったその家を管理する不動産を見付けて家を見せてもらう事になった。
カギを開け、家の中に入った瞬間に目に飛び込んできたのは派手でダサい模様の
入った天井板だった。内部は米軍ハウスオリジナルではなく文化住宅風で、空間
の中で天井板の存在感は異質だった。
私は丁度その頃中古の建材を作品の素材として使いたいと思っていた。
しかしやみくもに中古建材を集めてくる気にはなれなかった。そんな時に出会っ
た目の前にある変な天井板は素材として持ってこいだった。その上私の記憶の中
の「故郷」とそっくりな米軍ハウス。
不動産屋に戻り、物件ではないかもしれないが自分で手を入れて住みたいと思う、
と伝えた。話しは不思議にスムーズに進み、それから1,2週間後には借りる手
はずを取っていた。
作品にしたいという理由から借りたところもあって、入居してすぐにその家のパ
ーツで作品を作った。
作品のタイトルはLiving room。
結局その作品がきっかけでその家を4年近く改装し続けた。
Ouchi-projects
改装の日々で気がついた事があった。
古い家は、その表面の裏側に過去の時間が封印されていると言う事。
天井板の裏に隠された昔の天井板、風呂場のタイルの下に隠された昔のモザイクタイル。
それらを発見するうち、「改装」という行為が次第にただの改装ではなく、時間を
積み上げるような「制作」、作品制作のような感覚へと変化していった。
時間と共に変化していく空間の表情と空気。改装を通して他人は知る由もない家の
記憶をたどる様な体験が、私の中で言葉には言い表せない切なく淡い感情として溜
まっていくのを感じた。
そして、「改装」=「制作」=「作品』の感覚が「オウチ・プロジェクト」なるプ
ロジェクトを生む事になった。
住まう家の記憶や生活から生まれる言葉や物や感情。それらの無形の感覚を記憶し
解明していくライフワークのような作品である。
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